ちるりのメモ帳

ちるり(@chil_imc)の長文投稿用ブログです。

「光」と「暗さ」の共存〜part2:Fly High Myway!〜

こんにちは。

今回は前回から引き続き、明るさと暗さの共存について。

 

今回ピックアップするのは、舞さんのデビュー曲と言って差し支えない「Fly High Myway!」。

 


渕上 舞「Fly High Myway!」

 

全体的に「さあ、ここからスタート!」という雰囲気に溢れた曲であることは間違いないのですが、歌い出しの歌詞に驚いた方も多いのではないのでしょうか。

 

知らない言葉を並べても 伝えたい歌は届かない

「前向いて」「ねえ笑って」 もう聞き飽きたの 

 

J-POPによく見られるひたすら前向きな言葉たち。

ただ、自分がそんな言葉たちを歌っても、本心にはならない。

だから、自分の歌詞に乗せても、聞き手の心には届くわけがない。 

 

一見批判のようにも見える歌詞ですが、

舞さんなりのアーティストとしての方向性を決める、とても重要な歌詞です。

最初に曲を聞いた時は非常に衝撃的で、「夢」を届ける職業であるはずの声優がアーティストとしてデビューするのに、「自分はそんなことは歌わないよ」と宣言しているのです。

実はこの曲の歌詞は全体的に「不安」を書いている比率が高いのです。

続きも

 

固く閉ざしたこの鍵をもしも

壊してみたなら どうなるの…? 

 

と、一歩踏み出すことの怖さが書かれています。

…と、これだけだと「大丈夫なの??」と思われそうですが。

1番サビの歌い出しはこうです。

 

羽ばたけ 白いヒカリ差す方へ

 

曲の盛り上がりに合わせて、視界が一気に開けていくような。

それこそ青空へ一気に飛び立っていくような、印象的なフレーズです。

 

そして一緒に見ていただきたいところが、間奏開けの部分。

 

憧れがなかったわけじゃないんだけど

一歩踏み出すのが怖かったんだよ

今遠くへ飛ぶこと ほら 決めたんだから

さあ 勇気を出すよ 全力で助走つけて

 

 

「不安もあるけれど、私は飛び立つよ!」

と、舞さんのアーティストデビューをする、という決意を感じます。

 

舞さんの不安と決意が爽やかな曲調に乗って、大空へ昇華していくようです。

新しいことはいつだって不安。決して希望ばかりではないと、素直な気持ちが見て取れます。

 

舞さんの歌詞の特徴は、

「相手に気持ちを押し付けない」

ことだと思います。

 

舞さんはあくまで

「自分はこうした」

 と言うだけ。

それを聞いてどうするかは、聞き手自身に委ねられるのです。

これは舞さんのラジオのお悩み相談の時にも見られますが、メールを読んで思ったことや、アドバイスをした上で、

「でも、最後に決めるのはあなただよ」

と投げるのです。

 

相談されたのに投げるなんて、と、無責任なように見えるでしょうか?

私は判断をしっかり返すことによって、相手に背負わせることなく、再び自分で考え、納得できる答えを自分で見つけることができるようにしているのだと考えています。

 

自分の人生は自分で決めた方が良いです。

別の判断をしたら、別のルートがあったのかもしれません。しかし、その時自分が考えた最善はこれ。ならきっとこれが一番良い判断だったのだと、割り切っていくしかありません。

他人に言われたままにしていては、フラフラとしてしまい、自分が消えてしまうかもしれませんから。

 

他人から自分を強要されない。自分の気持ちに正直に。

私は私のペースで、私の道を歩く。

…やるときはやるけどね!

 

舞さんの曲たちから感じられるそんなスタンスが、とても心地良いのです。

そんなスタンスに共感した人たちが舞さんの曲を聞いて、

「舞さんがこうしたのなら、自分もそうしてみようかなあ」

と一歩を踏み出していくのだと思います。

これがアーティスト・渕上舞なりの、この世の中を生きづらく感じている人たちへの気持ちの届け方なのかもしれません。

もしそうでなくても、私はそんなふうに元気をもらっています。

エールを真正面からするのではなく、気づいたら横で寄り添ってくれるような、そっとした優しさに、私はいつも励まされるのです。

 

世の中には、舞さんの曲を聞いて

「もっとドーンと背中を押してくれよ」

なんて思う人も少なくないかもしれません。

それでも、「頑張れ」と言われることが苦手な人に、少しでも舞さんの曲が届きますように。

そんな想いで、今回はこの文章を書きました。

 

 

このシリーズはもう少し続く予定です。

それでは。