ちるりのメモ帳

ちるり(@chil_imc)の長文投稿用ブログです。

奇跡なんて蜃気楼。光と暗さの共存Part.5〜雪に咲く花。蜃気楼。~

こんばんは。ちるりです。

 

長らく続けてきたこのシリーズですが、今回がひとまずの最終回となります。

 

最後はそう。

「雪に咲く花。蜃気楼。」

を取り上げます。

 

youtu.be

(ランティスさんが公式で音源を上げてくださっています。感謝)

 

前回ちらっと触れた、「とりま」へのメールでありがたいことにMVPをいただいた曲でもあります。

 

chilim.hatenablog.com

 

この曲を語りたいが故に、このシリーズを書いてきたところもあります。

 

さて本題ですが。

この曲はミニアルバム「Journey & My music」に収録されています。

このアルバムは全6曲ながら、舞さんの持ち味である幅広い曲調が楽しめるので、個人的に「渕上舞入門編」としてオススメしたい1枚です。

 

「雪に咲く花。蜃気楼。」については、作詞はもちろん渕上舞さん。

そして作曲・編曲はファンタジー感と透明感の魔術師、rionosさんが担当されています。

 

タイトルからしても何だか寒そうな雰囲気ですが、アレンジも音数を極限まで削っていて、音はあるのに静けさを感じ、舞さんの透き通っていながら、ポツポツと独り言のような歌声で、まるで氷の世界にいるような感覚になる曲です。基本3拍子なのも心地良い。

  

この曲はこのシリーズでひたすら語っていた「美しさと暗さの共存」の極致と言っていいでしょう。
歌詞の中には
 
「透明なオルゴール」
「空に浮かぶ北極星 輝く」
雪の花」
 
など、透明感や美しさを感じる言葉が並びながらも、
 
「後どれくらい待てばいいの?」
「奇跡なんて蜃気楼」
 
といった、暗い気持ちが表現されています。
 
サビの中でも
「明けない夜なんてないんだ」
の直後に1番では
誰が言ったの?信じていいの?」
と疑いや不安がありながらもギリギリ希望を持っていたのが、2番で
「誰も気づいてくれないのなら
灯したロウソクの火を
全部 吹き消してもいいのかな」
と、救いがないならいっそ自分から断ち切ってしまえば、
(考察:灯したロウソクの火=希望、吹き消す=断ち切る)
となり、最後では
「約束しよう また会えるよ」
に対して、
「誰が言ったの?もう忘れたわ」
とあきらめてしまっているのです。
 
 
出てくるモチーフは美しいのに、歌詞の中で表現されている感情は孤独感や鬱屈とした気持ちで、このギャップで互いに引き立てあっていると感じています。
 
 
この曲の歌詞の大筋を考えると、以下のような雰囲気でしょうか。
 
ーーーーーーーーーー
透明なオルゴールが壊れるほど長い時間待っていたのに、
「明けない夜」は来ない。
オルゴールは壊れてしまったから、私が愛の歌を歌うけれど、
どれだけ歌っても届かない。
「また会えるよ」と誰かが言っていたけれど、もう忘れた。
救いなんてまるで蜃気楼のようで、あるように見えても存在しない。
ーーーーーーーーーー
 
 「奇跡なんて蜃気楼」
 
一見美しいようで、よく考えると救いなんてないのだ、という言葉で締め括られています。希望が見えていくのかと思いきや、どんどん落ちていき、そのままこの曲は終わるのです。
私は最初はこの曲綺麗だな~と思っていたら、気づいたら抜けられないほど深みにはまっていました。
 
希望を求めて、励まされたくて明るい前向きな曲をたくさん聴くのももちろん良いでしょう。私も、踏ん張りたい時、頑張りたい時にはそんな曲を聴きます。
でも、もうどうしようもなく疲れてしまった時、頑張れない時には、こんな曲を聞いて落としきってしまうのも良いと思うのです。落ちたら、あとは上がるだけですから。
 
 
この記事のシリーズを書き出してから、感じたことはたくさんあります。
踏み出したいけど不安な時、頑張るのは苦手だけど、ちょっと今日は背伸びしたい時、何だかモヤモヤすっきりしない時、どうしようもなく辛い時……。
舞さんの曲たちは、背中を強く押してくれるというより、そっと寄り添ってくれます。頑張れない時に「頑張れ」と言われる辛さを知っているのかもしれません。
 
努力を押しつけることはなく、たまには頑張るけど、無理はし過ぎず。時には落ち込んで、全てを捨てたくなるようなこともある。それでも自分らしく、自分のペースで生きていく。……時にははじけてもいい!
 
しばらく舞さんが書いた歌詞と向き合っていて、とても「人間らしさ」に溢れていることに気がつきました。人間として生きていく中で、当然出会うであろう気持ちを歌っているのです。
「私だけじゃないんだなぁ」と思えることで、楽になる気持ちもたくさんあります。だから私は舞さんの歌詞に優しさ、あたたかさを感じて、大好きになったのでしょう。
 
これが常々「生きづらさを感じている人に舞さんの曲を聞いてほしい」と思っていた、今のところの結論です。
 
これを読んで、一人でも舞さんの曲に触れてみよう、と思える方がいたら、私はとても嬉しいです。
 
一旦このシリーズはこれで締めとなりますが、まだまだ語りたい曲はたくさんあるので!これからも書いていこうと思います。
読んでいただき、ありがとうございました!